全国の空き家の状況
全国的に広がる空き家。総務省による平成30年に実施された「住宅・土地統計調査」によると、平成30年(2018年)時点における日本全国の空き家は849万戸となり、空き家率が13.6%に達する状況となっています。そのうち、使用目的のない「その他空き家」は349万戸となり、その他空き家率は5.6%となっています。この「その他空き家」は、1998年の182万戸から349万戸の増加しており、約1.92倍とこの20年間で倍増していることになります。
データ出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査」より
都道府県別の空き家状況
以上のデータは全国的な平均的な姿でありますが、これを都道府県別に切り取ってみると、都市部と地方の格差が鮮明となります。
このデータを見ると、全国平均の5.6%を下回る都道府県と上回る都道府県が鮮明に分かれ、空き家問題の深刻度について異なる様相を呈しています。三大都市圏である首都圏、中部圏、関西圏のほかに、強い地方都市を含む宮城県、福岡県、沖縄県などは、空き家率が比較的低い都道府県となっています。
一方で、その他高知県の12.7%を筆頭に10%を超える県もが西日本を中心に広がっています。
典型的な空き家
現状使用目的のない空き家の総戸数349万戸の内訳としては、一戸建てが7割以上を占め、そのうち、木造の一戸建ては240万戸と全体の68.8%を占めます。
また、空き家の建設時期を見ると、新耐震基準が導入される以前である昭和55年以前に建設されたものが全体の77.5%と空き家全体の3分の4を占める状況となっています。
このようにしてみると、典型的な空き家像は、
昭和55年以前に建築された木造一戸建て
と言えます。
次に、空き家所有者が空き家を取得した原因を見ると、54.8%が相続を原因とするものとなっており、過半が相続を契機に空き家となってしまい、その後に管理不全の状態が続いているものが増え続けているという状況が現状であると言えます。
空き家が放置されることにより、建物の腐食が進み防災上、防犯上の問題が発生することに加え、害虫や害獣の発生やゴミ屋敷化してしまうなど、周辺地域のコミュニティに対して負の影響を与え続けている空き家が今後増加することが見込まれています。
令和5年には、空き家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)が改正されています。この改正では、強制的な代執行による除却の命令対象となる特定空家以外に、その一歩手前の「管理不全空家」という考え方が新設されており、「管理不全空家」についても市町村から勧告を受けたものについては、土地の固定資産税について小規模宅地の軽減が受けられなくなるという措置が導入されています。
このように、空き家を放置することによるコストは、今後増大していくことになるものと見込まれています。